三回忌を終えると、次の七回忌も同じ規模で営むのか、いつまで続ければよいのかと迷うことがあります。長く続けてきた家ほど、区切りを口にしにくいかもしれません。ただ、法事の形は親族の年齢や住む場所に合わせて変えられます。回忌の流れを押さえたうえで、続ける、規模を小さくする、弔い上げとする選択を落ち着いて考えましょう。
昔の常識
かつては、一周忌から三回忌、七回忌、十三回忌へと法要を重ね、三十三回忌や五十回忌まで営む家も珍しくありませんでした。その間には十七回忌、二十三回忌、二十七回忌などの節目もあります。一周忌の翌年を三回忌とするのは、そう数える習わしがあるためです。
親族が同じ地域や近隣に暮らしていれば、決まった節目に集まることにも無理がありませんでした。法事は故人を偲ぶ場であると同時に、普段会わない親族が顔を合わせ、家のつながりを保つ機会でもあったのです。菩提寺との関係を継続するうえでも、従来の形には合理性がありました。
そのため、各家庭が「次は行うか」と毎回判断するより、地域や寺院の慣習に沿うほうが自然でした。途中で区切ると、故人を大切にしていないと受け取られることもあったでしょう。昔の方法は当時の暮らしと人間関係に合っており、続けてきた親族の思いも尊重したいところです。
今はどうなった?
近年は、七回忌や十三回忌を弔い上げとする家が増え、三回忌を最後の法要にする例もあります。一方、三十三回忌まで続ける家もあり、弔い上げの時期は家や地域で異なります。どの回忌なら正しいという線引きではなく、それぞれの事情で決めるものと考えられるようになりました。
背景には、親族が遠方に散らばり、年齢を重ねた人が移動しにくくなった現実があります。施主自身が高齢になれば、日程の調整、案内、会場や食事の手配を一人で担うのも難しくなるでしょう。故人を直接知る人が減るにつれて、以前と同じ集まり方を保つ意味も変わってきます。
そこで広がっているのが、法事を終えるか、従来どおり続けるかだけではない中間の選択です。家族だけで営む、法要は行わず墓参りをする、自宅で静かに手を合わせるなど、負担に合わせて形を変えられます。集まれる回だけ親族に声をかけ、次回の実施を保留する方法も選択肢です。
法事の服装については別記事で扱います。四十九日の規模については別記事で扱います。本記事の焦点は、年単位で続く回忌をどこで区切るかという点です。
結論
何回忌で区切るかに決まった正解はなく、親族の状況と菩提寺に相談して決めてよいのです。弔い上げは故人を軽く扱うことではなく、家の事情に合う形へ移る区切りと考えられます。続けたい人の思いも受け止め、家族だけの法要や墓参りも含めて、施主が無理なく続けられる方法を話し合いましょう。判断を急がず、次の回忌ごとに見直す方法も選べます。
なぜ変わった?
第一の変化は、家族構成と居住地です。進学や就職、結婚などで親族が各地に暮らすと、一つの地域へ定期的に集まる前提が成り立ちにくくなります。仕事や家庭の予定もそれぞれ異なり、参加したい気持ちがあっても移動が負担になる場面が生じます。
第二は、施主と参列者が年齢を重ねることです。年月が進むほど、移動や長時間の滞在が体調に響く人は増えていきます。施主にとっては連絡先の確認から当日の進行まで実務が重なり、以前と同じ規模を維持しにくくなるのが実情です。
第三は、故人を偲ぶ形への考え方が広がった点にあります。親族を集める法要に加え、少人数の墓参りや自宅で手を合わせる時間も選ばれるようになりました。形式を変えても、故人を思い出す機会を持ち続けたいという気持ちは両立できます。
また、回忌が進むほど故人を直接知る人は少なくなります。集まる意味が薄れたと感じる家がある一方、次の世代へ故人の話を伝える機会として続けたい家もあるでしょう。変化の受け止め方は一つではないため、人数だけで機械的に決めず、参加する人の思いまで確かめることが大切です。
菩提寺との関係も判断から外せません。宗派や地域によって異なるため、菩提寺や親族に確認し、家に受け継がれた流れを把握してから選ぶと行き違いを減らせます。菩提寺がない場合は、事情を知る親族と今後の形を具体的に相談するとよいでしょう。
相手別の正解
区切りを考えるときは、回忌の名称より、誰が参加でき、誰が準備を担えるかを見ると判断しやすくなります。次の表は結論を決める規則ではなく、家族で話し合う際の出発点です。
| 状況 | どう考えるか | 一言の理由 |
|---|---|---|
| 親族が多く参列できる | これまでどおり営む案も残し、集まる機会として活かす | 無理に早く区切る必要はない |
| 親族が高齢で集まりにくい | 弔い上げや家族だけの墓参りへの移行を相談する | 移動と体調への負担を優先できる |
| 遠方に散らばっている | 次の法要の要否や規模を事前に話し合う | 距離が参列の負担になりやすい |
| 施主が高齢で準備が難しい | 家族だけで営むか、弔い上げとするかを検討する | 準備を一人で抱えない形に変えられる |
| 故人を知る人がほとんどいない | 弔い上げ後は墓参りや自宅で偲ぶ形へ移る | 今いる家族に合う形で思いをつなげられる |
状況が重なる場合は、負担が大きい人に合わせると無理が生じにくくなります。たとえば親族が高齢で遠方にも住んでいるなら、全員の参列を前提にせず、近くの家族だけで営む案を示せます。参加できない人には、後日墓参りをするなど別の形を選んでもらうことも可能です。
区切ると決めたら、最後の案内を出す前に、近い親族へ電話や手紙で意向を伝えます。「皆さまの年齢や移動の負担を考え、今回を一つの区切りにしたいと考えています」と事情から説明すれば、結論だけを告げるより受け止めてもらいやすいでしょう。そのうえで「今後は命日を目安に家族で墓参りをします」など、代わりに続ける形を添えます。
まだ続けたいという親族がいれば、理由を聞くことが先決です。その人が中心となって営む、参列範囲を狭める、今回は実施して次回を保留にするといった案も考えられます。意見が割れたときこそ、続ける側と区切る側のどちらも故人を思っていることを共通点にしてください。
菩提寺があるなら、親族への正式な案内より先に相談するのが安心です。弔い上げの時期は家や地域で異なるため、これまでの経緯を伝え、今後の関わり方も確認します。費用は寺院や地域によって大きく異なるため、直接確認してください。
やってはいけないこと
- 親族へ何も伝えず、次の案内を出さないまま法事を終えること。続くと思っていた人には、連絡がない理由が分からず、不信感が残ります。区切る意向は言葉にして伝えましょう。
- 「十三回忌を迎えたから」と、年数だけで一方的に決めること。何回忌で弔い上げとするかは、家や地域、菩提寺との関係で違います。数字は相談のきっかけにとどめてください。
- 菩提寺へ連絡せず、予定していた法要を取りやめること。長く続く関係や家ごとの経緯があるため、先に事情を説明するのが安全です。規模を変える案も含めて相談できます。
- 続けたい親族の意向を、今の暮らしに合わないと退けること。法事への思いは人によって異なり、負担だけでは測れません。希望を聞き、役割や参列範囲を調整できないか考えます。
- 区切りとなる法要の当日に、初めて「今回で最後」と告げること。参列者が気持ちを整理したり、意見を伝えたりする時間がなくなります。事前の連絡で理由と今後の形を示すことが大切です。
施主だけが準備と調整を抱え続けるのも避けたいところです。連絡、会場、当日の進行などを分けられるなら、家族に具体的な役割を頼みます。それでも難しいときは、規模を小さくする判断を話し合う機会にしてください。
まとめ
法事を何回忌まで営むかに、すべての家に共通する答えはありません。続けることも、規模を変えることも、弔い上げとすることも選べます。迷ったら、参列者と施主の負担を整理し、親族と菩提寺へ今後の希望を相談するところから始めましょう。

