ドル円が動きやすいのは、何曜日?
10年分のデータを集計してみた。
2016〜2025年・2,388回の変化を比較。
平均で目立った曜日と、年ごとに変わる結果を見ていきます。
曜日の名前だけで相場の荒さを予想してよいのか。確かめるために、2016〜2025年のドル円について、ニューヨーク正午の観測値を曜日別に並べました。同じ時刻を使って比較の起点をそろえ、平均・中央値・年別の順位から、曜日のイメージがどこまで当てになるかを見ます。
今回は米連邦準備制度(FRB)の公開データで、10年間を集計しました。先に結果を書くと、平均の変化額が最も大きかったのは木曜日の約0.588円。ただ、年ごとに分けると、毎年木曜日が最大だったわけではありません。
使うのはニューヨーク正午のレートです。1日の高値と安値の差でも、日本時間0時から24時までの値幅でもありません。プラスとマイナスの向きを外した「変化の大きさ」を比べています。
平均では木曜日。ただし「木曜に買えばよい」ではない
まずは全期間を一つにまとめた結果です。例えば、前の観測値が150.00円で当日が150.50円なら変化額は0.50円。当日が149.50円だった場合も、変化の大きさとして0.50円と数えます。
2016〜2025年/単位:円(1米ドルあたり)
横棒は0円を起点に共通の縮尺で表示。月曜は金曜正午から月曜正午までを含むため、ほかの曜日と観測間隔が異なります。出典:FRB H.10、海外FX.com編集部集計。
| 曜日 | 件数 | 平均変化額 | 中央値 | 平均変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 月曜日 | 441 | 0.485円 | 0.340円 | 0.388% |
| 火曜日 | 450 | 0.462円 | 0.330円 | 0.372% |
| 水曜日 | 507 | 0.503円 | 0.340円 | 0.397% |
| 木曜日 | 495 | 0.588円 | 0.380円 | 0.466% |
| 金曜日 | 495 | 0.539円 | 0.370円 | 0.430% |
木曜日と火曜日の平均の差は約0.126円です。ドル円1,000通貨なら単純な換算で約126円、1万通貨なら約1,260円に相当します。ただし、これは曜日別の平均値の差を通貨数に掛けただけで、取引で得られる利益ではありません。方向を当てられるか、どの価格で売買できるかは別の話です。
この比較から「木曜日は上がりやすい」とも言えません。上昇も下落も同じ正の数として集計しているためです。「大きく変わった」と「買って利益になった」は分けて読みましょう。
平均0.588円でも、いつもそのくらい動くわけではない
木曜日の中央値は0.380円でした。平均より小さい数字です。中央値は、変化額を小さい順に並べたときの真ん中。少数の大きな変化の影響を受ける平均と、見え方が違います。
例えば、架空の5回の変化が0.10円、0.20円、0.30円、0.40円、2.00円なら、平均は0.60円ですが中央値は0.30円です。「平均0.60円」と聞く印象と、実際に並んだ数字には距離があります。
今回も全曜日で平均が中央値を上回りました。だからといって、特定の日の動きを平均値から決め打ちできるわけではありません。「平均の値幅まで待てば届く」「平均より狭い損切りなら安全」といった使い方には向きません。
円だけでなく、率でも確認する
1ドル100円のときの1円と、150円のときの1円では、価格に対する大きさが違います。そのため、前の観測値に対する変化率も計算しました。全期間では率で見ても木曜日の平均が最大でしたが、円額と率の順位がいつも一致するとは限りません。
1年ずつ見ると、順位は入れ替わる
10年分を平均すると、途中の違いが見えにくくなります。そこで、同じ集計方法のまま年別に分けました。以下は平均絶対変化額です。
| 年 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 最大の曜日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2016年 | 0.553 | 0.522 | 0.585 | 0.712 | 0.712 | 木曜日 |
| 2017年 | 0.407 | 0.427 | 0.443 | 0.544 | 0.400 | 木曜日 |
| 2018年 | 0.283 | 0.375 | 0.329 | 0.371 | 0.325 | 火曜日 |
| 2019年 | 0.279 | 0.247 | 0.223 | 0.348 | 0.287 | 木曜日 |
| 2020年 | 0.446 | 0.361 | 0.313 | 0.347 | 0.396 | 月曜日 |
| 2021年 | 0.256 | 0.270 | 0.266 | 0.274 | 0.299 | 金曜日 |
| 2022年 | 0.645 | 0.747 | 0.675 | 0.863 | 0.777 | 木曜日 |
| 2023年 | 0.657 | 0.569 | 0.534 | 0.777 | 0.824 | 金曜日 |
| 2024年 | 0.593 | 0.488 | 0.965 | 0.735 | 0.737 | 水曜日 |
| 2025年 | 0.731 | 0.626 | 0.685 | 0.891 | 0.630 | 木曜日 |
単位:円。表示は小数第3位に丸めています。最大曜日は丸める前の数値で判定。横に長い表はスマホでスクロールできます。
木曜日が最大だったのは10年中5年。2023年は金曜日、2024年は水曜日が最大でした。2025年だけを見れば木曜日が目立ちますが、その印象を別の年にそのまま当てはめることはできません。
ここで面白いのは、曜日だけでなく年による差も見えることです。いつのデータを使うかで、同じドル円の見え方が変わります。「過去10年」と「直近1年」を両方見る理由は、都合のよい期間を探すためではなく、結論がどの程度変わるかを確かめるためです。
一度の急変で、曜日の順位はどれくらい変わる?
平均と中央値を見たら、次は「一度の大きな変化に、どれだけ引っ張られたか」を確かめたくなります。方法の一つは、各曜日で最も大きな変化を同じ件数だけ外して、平均を計算し直すことです。順位が入れ替われば、元の順位が少数の急変に左右されていた可能性を考えられます。
ここからは計算方法を示す架空の例です。上のドル円データを再集計した結果ではありません。曜日Aと曜日Bを10回ずつ観測したとします。Aの絶対変化額の合計が5.00円、Bが4.00円なら、平均はAが0.50円、Bが0.40円。この段階ではAの方が大きく見えます。
| 比較項目 | 曜日A | 曜日B |
|---|---|---|
| 10回の合計/平均 | 5.00円/0.50円 | 4.00円/0.40円 |
| 最大の1件 | 2.00円 | 0.60円 |
| 残り9回の平均 | 3.00÷9≒0.333円 | 3.40÷9≒0.378円 |
Aでは合計の4割を1件が占めていたため、その1件を外すと平均が大きく下がります。Bにも同じ処理をすると、今度はBの平均がAを上回りました。「10回の平均」と「最大の1件を外した9回の平均」は、違う問いへの答えです。後者だけを正解として採用するわけではありません。
実データで試すなら、元の集計を残し、各曜日の最大値・その日付・除外後の件数・平均を横に並べます。ある曜日だけ急変日を外したり、都合のよい順位になるまで除外数を増やしたりすると、比較の条件が崩れます。件数が違う曜日では同じ1件でも割合が異なるため、その点も記録が必要です。
急変は実際に起きた相場の一部です。除外後の平均は「大きな日がなかったら」という見直しに使い、取引リスクの計算から急変を消す理由にはしません。曜日による差の有意性を検定したことにもならず、元の集計だけで予測できる範囲は広がりません。
曜日を売買の合図にするより、思い込みを点検する
この結果だけで曜日別の売買ルールを作るのは早計です。観測時刻、期間、祝日の扱いが変われば集計値も変わります。曜日による差が統計的に有意かどうかの検定や、将来のデータを使った検証は行っていません。
使いどころがあるとすれば、「金曜だから必ず荒れる」「月曜だから動かない」といった思い込みを一度止める場面です。当日の予定や価格の動きを確認する前に、曜日だけで取引量を増やす理由にはしない方がよいでしょう。
損益は、自分の取引量に直して考える
同じ0.50円の変化でも、1,000通貨と1万通貨では損益の大きさが10倍違います。相場の動き方を眺めた後は、自分が想定している数量でいくら増減するかを確かめてみてください。
ドル円の値幅と損益を計算してみる →
損切りの有無で、損益の経過はどう違う? →
これらの計算は、過去データの曜日別集計とは別の、仮定の条件によるシミュレーションです。実際の取引ではスプレッド・手数料・スリッページなども関わります。
使ったデータと、再集計できる手順
- 出典:FRB「Historical Rates for the Japanese Yen」。データの性質はFRED DEXJPUSの説明でも確認できます。
- 対象期間:2016年1月1日〜2025年12月31日。途中の年を混ぜないよう2026年分は除外しました。
- 価格:1米ドルあたりの日本円。ニューヨーク正午の買いレート。曜日は元データの日付に基づきます。
- 式:絶対変化額=|当日レート−前の有効観測レート|。絶対変化率=|当日レート÷前の有効観測レート−1|×100。
- 採用条件:火〜金曜は直前の有効観測日との差が1暦日のもの。月曜は直前の金曜との差が3暦日のもの。欠測値を埋める処理はしていません。
- 集計件数:2,388件。期間内の有効観測値のうち、上記の間隔条件を満たさない109件の比較を除外しました。
- 集計単位:当日側の曜日・年に割り当て。全期間の平均は全採用件数から計算し、年平均の単純平均にはしていません。
- 確認日:2026年10月3日。公開データは後日修正される場合があります。
日中の高値・安値、東京市場だけの動き、週明けの最初の約定価格、特定業者でのスプレッドや約定実績は分かりません。月曜日は週末を含む長い間隔なので、ほかの曜日と完全に同条件の比較ではありません。また、木曜日の変化が大きかった原因を経済指標などに特定する検証はしていません。
元データの表から対象期間を取り出し、日付順に並べ、上の間隔条件を適用すると再集計できます。まず「値幅」が高値・安値の差なのか、観測値同士の差なのかをそろえることが、比較の出発点です。
執筆・集計:海外FX.com編集部|2026年10月3日公開
過去の公開データを使った記述的な分析です。将来の値動きや利益を保証するものではなく、売買の推奨ではありません。

