お年玉を渡し続けてきたものの、子どもが成長した今も同じように続けるべきか、迷うことがあります。高校を卒業したら終えるのか、学生の間は続けるのか、社会人になったら切り替えるのか。答えは一つではありません。これまで続けてきたこと自体が、親族との時間を大切にしてきた丁寧な姿勢です。その気持ちを保ちながら、家族に合う区切りを決めれば、渡す側も受け取る側も落ち着いて新年を迎えられます。
昔の常識:お年玉には「やめどき」がなかった
正月に親族が集まれば、大人が子どもにお年玉を渡すのは自然な光景でした。「何歳まで」と改めて考えるより、子どもが自分で働くようになるまで渡すもの、と受け止められることが多かったのです。年齢が上がれば包むものも少しずつ変えるという空気があり、前年と違う扱いにすることにもためらいがありました。
当時は、高校を出て働き始めることが、もらう側から渡す側へ移る自然な区切りになりやすい時代でした。親族で会う顔ぶれも毎年ほぼ決まっていれば、「集まれば渡す」という流れだけで成り立ちます。個別の方針を話し合わなくても、周囲との足並みがそろいやすかったのでしょう。
お年玉には、単に現金を渡す以上の役割もありました。子どもは目上の人に新年の挨拶をし、感謝を伝える機会になります。受け取ったものを自分で考えて使う経験にもなります。親族のつながりを確かめる場だったからこそ、長く続けることには当時なりの合理性がありました。
今はどうなった? 「何歳まで」に迷う場面が増えている
進学の道が多様になり、高校卒業と就職が必ずしも同じ時期ではなくなりました。そのため、高校卒業、成人、大学卒業、就職のどこを区切りにするか、家ごとに考え方が分かれます。学生であっても成人を迎えていることがあり、社会人になる時期にも違いがあります。一つの区切りを全員に当てはめにくくなったことが、迷いの大きな理由です。
親族が正月にそろう機会も、以前と同じとは限りません。遠方に住んでいて毎年は会えない甥や姪もいます。会えた人にだけ渡すのか、会えない相手にも用意するのかが年によって変わると、判断の軸が見えにくくなります。会う場面がないなら、無理にやり取りを作らないという選び方も自然です。
渡す側にとっては、甥や姪が増えるほど、準備の負担も重なります。家計に無理があっても親戚づきあいだからと言い出しにくく、何となく前年どおりにしてしまうことがあります。一方、受け取る側も、大学生になると「まだ受け取ってよいのだろうか」と遠慮する場合があります。社会人にお年玉という名目で渡すと、かえって受け取り方に困らせることもあるでしょう。
近年は、渡さない選択も普通にあると考えられるようになっています。子どもや甥姪がいない人、親族づきあいが薄い人には、そもそも渡す場面がありません。続けるかどうかを周囲の期待だけで決めず、それぞれの関係と暮らしに合う形を選ぶことが大切です。
結論:家族で区切りを決め、前もって伝える
お年玉の区切りに全国共通の正解はなく、家族で「何歳まで」を決めて事前に伝えておくのが今のやり方です。高校卒業、成人、大学卒業、就職は、いずれも区切りの候補になります。どれを選ぶかより、渡す相手やその親と方針を共有することが肝心です。渡さない選択も含め、無理のない形に整えましょう。
なぜ変わった? 「いつまで渡すか」を自分で決める時代になった背景
背景の一つは、進学と就職の時期が人によって異なるようになったことです。大学や専門学校へ進むことが身近になり、学び終えて働き始める時期には幅があります。かつては区切りとして受け止めやすかった高校卒業だけでは、親族全員の状況を説明しきれません。そこで、それぞれの家庭が基準を持つ必要が生まれました。
親族の集まり方が変わったことも関係します。帰省の予定や仕事の都合で、正月に全員がそろわない家は珍しくありません。「会った人に渡す」形になると、相手によって受け取る機会に差が出ることがあります。毎年同じ流れに任せるより、誰にどのように渡すかをあらかじめ考えるほうが、あとで説明しやすくなります。
家計と世帯のあり方が多様になったことも見逃せません。子どものいない世帯、ひとりで暮らす人、年始に親族と会わない家庭など、お年玉を渡す側の前提はさまざまです。渡すことを続けたい気持ちがあっても、毎年同じ形を保つことが難しい場合があります。無理なく続けられる範囲を自分で決めてよい、という考え方が広がっています。
こうした変化は、以前のやり方を否定するものではありません。集まれば渡すという習慣には、親族を思う気持ちが表れていました。今はその気持ちを、年齢や立場に応じた別の形にもできるようになったと捉えるとよいでしょう。
相手別の正解:渡す相手ごとの区切りの考え方
お年玉をいつまで渡すかは、渡す相手との関係で考え方が変わります。
| 渡す相手 | 今の正解 | 一言の理由 |
|---|---|---|
| 自分の子ども | 就職を区切りにする家が多い。成人や大学卒業を区切りにしてもよい。「いつまで渡すか」を早めに本人に伝えておく。 | 親子なら率直に話しやすく、予告があれば子ども側も心の準備ができる。 |
| 甥・姪(学生) | 高校卒業または成人を区切りにし、きょうだい間で方針を揃えるのが無難。大学生まで続けるかは家族で相談する。 | 区切りが違うと、甥・姪同士や親同士の間に不公平感が生まれやすい。 |
| 配偶者側の甥・姪 | 配偶者のきょうだい側の慣習に合わせる。区切りの時期は配偶者を通じて確認する。 | 自分の基準だけで決めると、相手側の慣習と食い違うことがある。 |
| 友人・知人の子ども | 渡さなくてよい。渡す場合はその場の気持ちとして、翌年以降の継続を前提にしない。 | お年玉は親族間の慣習が基本で、渡す範囲が広がりやすいため。 |
| 社会人になった甥・姪・子ども | お年玉としては渡さなくてよい。気持ちを伝えたければ、正月の手土産や食事に誘う形へ切り替える。 | 社会人には、お年玉の名目で現金を渡されると気まずい場合がある。 |
きょうだいが複数いるなら、甥や姪への区切りをそろえておくと、比べられる場面を減らせます。「高校卒業までにする」「学生の間は続ける」など、年末より前に話しておくと安心です。配偶者側にも親族がいる場合は、配偶者を通じて相手側の慣習を確かめてから決めると、話の行き違いを防げます。
やめるときは、ある年に急に渡さなくなるより、「来年からお年玉は卒業ね」「社会人になったらお互いなしにしよう」と一言伝えるほうが穏やかです。甥や姪に直接伝えにくいときは、その親であるきょうだいに先に話す方法もあります。成人を区切りにする家と、学生の間は続ける家のどちらにも理屈があるため、決めた方針を共有することが大切です。
きょうだいがいない場合は、配偶者側の親族の慣習を参考にしたり、自分なりの区切りを相手の親に伝えたりすると判断しやすくなります。子どものいない人や、親族との行き来が少ない人は、渡す場面がないまま正月を過ごすこともあります。経済的な事情も含め、渡さないことに引け目を感じる必要はありません。お年玉は義務ではなく、気持ちのやりとりです。
金額の目安は別記事で扱います。
やってはいけないこと:区切りを相手任せにしない
- 何の予告もなく、ある年から突然渡さなくなること。
子どもや親は、何か気に障ることがあったのかと不安になるかもしれません。前の年に「次からはなしにするね」と伝えておけば、区切りとして受け止めやすくなります。 - きょうだい間で、甥や姪への区切りをばらばらにすること。
誰がいつまで受け取るかが違うと、本人同士だけでなく親同士にも気がかりが残ります。事情が異なる場合でも、先に話しておけば納得できる形を探しやすいでしょう。 - 受け取る相手を責める言い方で、渡すのを終えること。
もらう側が求めたわけではなく、渡す側が続けると決めてきた場合もあります。「これで卒業にしよう」と自分たちの方針として伝えるほうが、関係を傷つけにくくなります。 - 家計に無理があるのに、親戚づきあいだけを理由に続けること。
負担を抱えたままでは、いずれ続け方を変えざるを得なくなります。最初から無理のない形を選び、必要なら渡さない選択をすることが、長く穏やかな関係につながります。 - 子どもの前で「今年はどうする」と親に確認すること。
聞こえる場所で相談すると、子どもは受け取れることを期待しやすくなります。親もその場で答えにくくなるため、きょうだい同士の相談は事前に済ませておくのが安全です。
まとめ
お年玉の区切りに全国共通の正解はありません。家族で何歳までにするかを決め、前もって伝えておくことが大切です。迷ったら、きょうだいに「うちはどこで区切る?」と聞いてみましょう。方針を揃えれば、続ける場合もやめる場合も気まずくなりにくく、渡さない選択も含めて無理のない形を選べます。

