喪中の人に「あけましておめでとう」はダメ?新年挨拶の新常識

喪中の人に「あけましておめでとう」はダメ?新年挨拶の新常識

年始に喪中の方と会うとき、「おめでとう」を使わないなら、何を言えばよいのか迷うことがあります。言葉が見つからず、挨拶そのものを控えると、かえって距離を置かれたように感じさせる場面もあるでしょう。祝いの意味を含む言葉だけを外し、いつもの関係に合った一言を選べば、相手を気遣いながら自然に声をかけられます。

昔の常識

以前は、喪中の家には年始の挨拶回りを控え、周囲も新年らしい話題に触れないことが多くありました。正月飾りを出さず、祝いの場から少し離れて過ごす家に、あえて訪ねない。そのような形で静かな時間を守ろうとしたのです。

地域のつながりが濃い時代は、どの家が喪中かも自然に共有されやすく、挨拶を控えても関係が途切れにくい環境でした。年始は祝いの場だからこそ、そこに相手を巻き込まないことには十分な理由があります。「触れないことが配慮」という昔の考え方は、相手を思う気持ちから生まれたものです。

喪中の期間は一般に一年とされることが多いものの、地域や家によって異なります。そのため、本人から喪中と聞いている、あるいは事情を知っているときに、祝いの言葉を避けるという受け止め方が安心です。

今はどうなった?

今は職場の朝礼、取引先への連絡、親族の集まりなどで、年始に顔を合わせる機会を避けにくくなりました。住む場所と働く場所が離れ、相手の事情を知らないまま新年を迎えることもあります。知っていても、何も言わずに通り過ぎると、相手には特別に避けられたように映るかもしれません。

そこで近年は、祝いの言葉を使わず、感謝や今後の付き合いを伝える挨拶が選ばれるようになりました。「昨年はお世話になりました」「本年もよろしくお願いします」なら、新年を祝う意味を前面に出さずに、関係を大切にする気持ちを届けられます。対面だけでなく、電話やLINEでも同じ考え方が使いやすいでしょう。

もっとも、気にしない人もいれば、祝いの言葉を聞くことがつらい人もいます。全員に同じ反応を求めるのではなく、相手の様子と普段の距離感を手がかりにするのが穏やかでしょう。気づかず「おめでとう」と言ってしまうことは誰にでもあり、言われた側も多くは気にしていません。思い出した時点で短く言い直せば、必要以上に自分を責めずにすみます。

結論

喪中の相手には「おめでとう」を避けつつ、「昨年はお世話になりました」「本年もよろしくお願いします」と声をかけるのが、今の自然な新年の挨拶です。祝いの言葉だけを外し、挨拶そのものは交わします。迷ったら「寒さが続きますがお元気でお過ごしください」を添えると、気遣いも伝わります。うっかり言ってしまったときは、素直に言い直せば十分です。

なぜ変わった?

一つ目は、挨拶を交わす場が増えたことです。年始に会わない選択が取りやすかった頃と違い、仕事始めの打ち合わせやオンライン会議でも、新年の一言が自然に交わされます。沈黙を選ぶだけでは、日頃の関係を保ちにくい場面が増えました。

二つ目は、伝える手段が細かく分かれたことです。対面なら表情を見て短く伝えられますが、電話では最初の一言が印象を左右します。LINEやメッセージでは、祝いの定型文やスタンプが自動的に候補に出る場合もあるでしょう。方法が増えたからこそ、何も送らないか、どんな言葉に替えるかを選ぶ必要が生まれています。

三つ目は、配慮の置き方です。以前のように触れないことで守られる気持ちもあります。一方で、喪中であっても仕事や日常の付き合いは続くため、いつもどおり接してほしいと感じる人も少なくありません。祝いの意味を含む表現は避けながら、相手を気にかけていることを伝える。今は、その両方をかなえる言葉選びが求められています。

相手別の正解

共通する目安は、祝いの意味を含む表現を、前年の感謝、今年の付き合い、体調を気遣う言葉に置き換えることです。同じ内容でも、対面では短く、電話では冒頭を落ち着かせ、メッセージでは定型の賀詞を入れないようにすると使いやすくなります。

場面使ってよい言葉の例避ける言葉
対面で会ったとき「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いします」「寒さが続きますがお元気でお過ごしください」「あけましておめでとうございます」「おめでとう」「謹賀新年」「賀正」
電話「新年のご挨拶は控えますが、本年もよろしくお願いいたします」「今年も変わらぬお付き合いをお願いします」「おめでとうございます」「今年もよい年になりますように」
メッセージ・LINE「今年もよろしくお願いします。お身体に気をつけてお過ごしください」「寒い日が続きますのでご自愛ください」「あけおめ」「ことよろ」「謹賀新年」のスタンプや絵文字
職場の朝礼や新年会個別には「今年もよろしくお願いします」と伝える。全体への定型的な挨拶は、本人に言わせようとしない。本人に向けて「おめでとう」と重ねること。喪中である事情を皆の前で話題にすること。
寒中見舞い「寒中お見舞い申し上げます」「年始のご挨拶は控えさせていただきました」「賀正」「恭賀新年」など、祝いの意味を含む賀詞
自分が喪中で祝われたとき「お気遣いなく、ありがとうございます」「こちらこそ本年もよろしくお願いします」と受け止める。相手を責める言い方や、皆の前で訂正を求めること。

親しい友人なら「今年もよろしくね」と少しくだけた表現でも自然です。目上の人や取引先には、「本年もよろしくお願いいたします」のように丁寧さを保つと安心できます。相手が話したい様子なら耳を傾け、そうでなければ新年の挨拶に事情を重ねすぎないことも配慮になります。

職場の朝礼や新年会では、全体が祝いの雰囲気でも、喪中の本人だけに発言を求めたり、事情を説明させたりしないほうが無難です。本人が自分から周囲に合わせて挨拶する場合もあるため、その選び方を周囲が止める必要はありません。個別に話すときだけ、表のような言葉へ切り替えれば足ります。

寒中見舞いは、松の内が明けてから立春の前日までに送る季節の挨拶です。松の内は関東では1月7日まで、関西では1月15日までとする地域が多いため、相手の地域も踏まえて時期を考えましょう。書き方や時期の詳細は別記事で扱います。喪中はがきへの返事については別記事で扱っています。

やってはいけないこと

  • 事情を知りながら祝いの言葉をかけ、相手の表情を見てから取り繕うことです。気づいたら「失礼しました。本年もよろしくお願いします」と短く言い直すほうが、相手に説明の負担をかけません。
  • 喪中の相手だけ挨拶を飛ばし、周囲には次々と「おめでとう」と言うことです。一人だけ避けるより、祝いの言葉を外した挨拶を同じように交わすほうが、関係を自然に保てます。
  • 年始の場で、身内が亡くなるまでの経緯や事情を詳しく尋ねるのは控えましょう。相手から話したい様子があれば聞きますが、こちらから話題を広げないほうが穏やかです。
  • 「もう気にしなくていい」と励まして、悲しみの区切りを急がせることです。受け止め方は人それぞれなので、「お身体を大切にしてください」と相手のペースを尊重する言葉が向いています。
  • 新年会で「今日くらいは明るく」と同調を求めることです。祝いの場にどう参加するかは本人が決めることであり、周囲が気分を決める必要はありません。

ここで挙げたことは、誰かを責めるための基準ではありません。言葉は急な場面でつい口をつくものです。相手を気遣う気持ちがあれば、短く言い直す、次の言葉を選び直すという対応で十分に伝わります。

まとめ

喪中の相手には、新年の挨拶をなくすのではなく、祝いの言葉だけを避けて声をかけます。迷ったときは「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いします」と伝えれば、対面でも電話でも使えます。うっかりした一言を引きずるより、その後の関わりで気遣いを示すことが大切です。

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