結論からいうと、会社員は年間の利益(経費を引いた後)が20万円を超えたら所得税の確定申告が必要です。専業や無職の人は基礎控除の額を超えたときが基準になり、令和7年分は合計所得金額が58万円(一定の場合は95万円)を超えるかどうかで判断します。ただし20万円以下でも住民税の申告は必要です。ここを見落とす人がとても多いので、金額だけで「申告不要」と決めないでください。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 会社員(給与1か所・年収2,000万円以下) | 給与以外の所得の合計が20万円超で確定申告が必要 |
| 専業・無職 | 合計所得金額が基礎控除額を超えたら必要(令和7年分は58万円が基本) |
| 個人事業主 | 金額にかかわらず確定申告が必要(もともと申告義務がある) |
| 給与収入2,000万円超の人 | 20万円ルールは使えない。金額にかかわらず必要 |
| 数える対象 | 利益そのものではなく「利益−必要経費」。他の副業所得とも合算 |
| 住民税 | 20万円ルールはない。少額でも申告が必要になる |
| 扶養に入っている人 | 合計所得金額58万円超で扶養から外れる(令和7年分から) |
| 最終確認日 | 2026年9月7日 |
20万円は「利益」ではなく「所得」で数える
会社員の判断基準になる20万円は、給与所得と退職所得以外の所得の合計額です。海外FXでいえば、年間の確定利益から必要経費を引いた後の金額を指します。
たとえば年間の確定利益が25万円で、取引に使った書籍代やVPS代などの経費が6万円あれば、雑所得は19万円です。この場合は20万円以下となり、所得税の確定申告義務は生じません。逆に、他にアフィリエイト収入が5万円あれば合算して24万円となり、申告が必要になります。海外FX単体ではなく、給与以外の所得すべてを足して判断する点に注意してください。
また、数えるのは決済して確定した損益です。出金していなくても、含み益のまま年を越したポジションがあっても、判定に影響するのは確定分だけです。
立場別の判定表
| 立場 | 所得税の申告が必要になる基準 | 補足 |
|---|---|---|
| 会社員(給与1か所、年末調整済み) | 給与以外の所得の合計が20万円超 | 最も多いケース |
| 会社員(給与2か所以上) | 従たる給与と他の所得の合計が20万円超 | 年末調整されない給与がある場合は要注意 |
| 会社員(給与収入2,000万円超) | 金額にかかわらず必要 | 年末調整の対象外のため |
| 専業トレーダー・無職 | 合計所得金額が基礎控除額を超えたとき | 令和7年分は58万円が基本。合計所得132万円以下なら95万円 |
| 学生・専業主婦(扶養内) | 同上。加えて58万円超で扶養から外れる | 扶養控除・配偶者控除への影響が大きい |
| 個人事業主 | 金額にかかわらず必要 | 事業所得と合わせて申告する |
| 年金受給者 | 公的年金等の収入400万円以下かつ他の所得20万円以下なら不要 | 条件を満たさなければ必要 |
専業や扶養内の人の基準は、令和7年分から金額が変わりました。基礎控除は合計所得金額に応じて次のように設定されています。
| 合計所得金額 | 令和7年・8年分 | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 58万円 |

住民税には20万円ルールがない
20万円以下なら何もしなくてよい、と理解している人がいますが、これは所得税に限った話です。住民税には同じ免除の仕組みがないため、利益が数万円でも市区町村への住民税の申告が必要になります。
| 年間の雑所得 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 5万円 | 不要 | 必要 |
| 19万円 | 不要 | 必要 |
| 25万円 | 必要 | 確定申告をすれば別途不要 |
確定申告をすればその内容が市区町村に共有されるため、住民税の申告を別に出す必要はありません。手続きが二重になるのは「所得税は不要だが住民税は必要」という20万円以下のゾーンだけです。申告先は住所地の市区町村で、様式は自治体のサイトから入手できます。
20万円以下でも確定申告をしたほうがよい場合
- 医療費控除や住宅ローン控除の初年度で確定申告をする場合。確定申告をするなら20万円以下の所得も申告書に含める必要があります。20万円ルールは「確定申告をしない人」のための特例だからです。
- ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合。同じ理由で、雑所得も一緒に申告することになります。
- 他の雑所得に損失がある場合。雑所得どうしは相殺できるため、申告することで税額が下がる可能性があります。
ここは間違いが起きやすいところです。「医療費控除の申告はするが、FXの15万円は20万円以下だから書かなくてよい」という処理は誤りになります。
扶養内で取引している場合の基準
親や配偶者の扶養に入っている場合、判断すべきなのは自分の納税額よりも扶養から外れるかどうかです。扶養親族に該当する要件のうち所得の条件は、令和7年分から合計所得金額58万円以下に引き上げられました(給与のみなら収入123万円以下)。
アルバイト収入がある学生の場合、給与所得(収入−給与所得控除65万円)とFXの雑所得を足した金額で判定します。たとえば給与収入100万円(給与所得35万円)にFXの利益30万円が加われば合計所得65万円となり、58万円を超えるため扶養から外れます。外れると扶養者側の税負担が増えるため、影響は本人だけにとどまりません。

判定の手順
- その年に決済して確定した損益を、全業者分合計する。
- 証憑のある必要経費を差し引き、雑所得の金額を出す。
- 他の副業所得があれば足す。
- 会社員なら20万円、専業なら基礎控除額と比べる。
- 20万円以下でも、住民税の申告が必要かを住所地の自治体で確認する。
よくある質問
利益が20万円ちょうどの場合はどうなりますか
基準は「20万円を超える」かどうかです。ちょうど20万円なら所得税の確定申告義務は生じません。ただし住民税の申告は必要です。
出金していない利益も20万円の判定に入りますか
入ります。判定に使うのは決済して確定した損益で、口座に置いたままかどうかは関係ありません。
国内FXの利益と合算して20万円を判定しますか
合算します。20万円の判定は「給与所得と退職所得以外の所得の合計」で行うため、課税方式が違っても判定上は足し合わせます。税額の計算は別々に行います。
損失だった年も何か手続きが必要ですか
所得がマイナスなら所得税の申告義務は生じません。繰越もできないため、通常は手続き不要です。他の雑所得と相殺したい場合のみ申告します。
申告しなかった場合、どのように把握されますか
海外送金や国内の入出金の記録、業者からの情報提供など複数の経路があります。無申告が判明すると本来の税額に加えて無申告加算税と延滞税がかかるため、金額の大小にかかわらず適正に申告してください。
経費を引いて20万円以下にする場合、証拠は必要ですか
必要です。領収書や明細は保存義務があり、内容の確認を求められることがあります。取引との関連を説明できないものは経費に計上しないでください。
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この記事で特に重要な3点
- 会社員の基準は「給与以外の所得の合計が20万円超」。海外FX単体ではなく、経費を引いた後の金額を他の副業と合算して判定する。
- 20万円以下でも住民税の申告は必要。免除の仕組みがあるのは所得税だけ。
- 専業や扶養内の人は基礎控除額(令和7年分は58万円が基本)が基準。扶養から外れる判定も同じ58万円で行う。

