結論からいうと、ロスカットは証拠金維持率が業者の定めた水準(多くは20%または50%)を下回ったときに、保有ポジションを強制的に決済する仕組みです。損失が資金を超えて膨らむのを防ぐための最終防衛線であり、利用者側で無効にはできません。重要なのは水準の数値そのものより、自分のポジションがあと何円の逆行で到達するかを把握しておくことです。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 作動条件 | 証拠金維持率が業者の定める水準を下回ったとき |
| 水準の例 | 20%/50%など。業者・口座タイプで異なる |
| 計算式 | 証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 |
| 有効証拠金 | 残高 + 含み損益(+クレジット型ボーナスを含む業者もある) |
| マージンコール | ロスカット前の警告。多くは維持率50〜100%で通知 |
| 無効化 | できない。業者が定める取引条件 |
| 間に合わない場合 | 残高がマイナスになり、ゼロカットの対象となる |
| 最終確認日 | 2026年9月7日 |
証拠金維持率という物差し
ロスカットの判定に使われるのが証拠金維持率です。ポジションを持つために拘束されている金額(必要証拠金)に対して、いま使える資金(有効証拠金)がどれだけあるかを比率で表します。
証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
有効証拠金は「残高+含み損益」です。含み損が増えれば有効証拠金が減り、維持率が下がります。必要証拠金は建てた時点で決まって動かないため、維持率を動かしているのは基本的に含み損益です。
| 状態 | 有効証拠金 | 必要証拠金 | 維持率 |
|---|---|---|---|
| 建てた直後 | 100,000円 | 30,000円 | 333% |
| 含み損5万円 | 50,000円 | 30,000円 | 167% |
| 含み損8万円 | 20,000円 | 30,000円 | 67%(マージンコール圏) |
| 含み損9.4万円 | 6,000円 | 30,000円 | 20%(ロスカット) |
ロスカットまであと何円かを計算する
前提:口座残高10万円、米ドル/円(1ドル150円)、レバレッジ500倍、ロスカット水準20%。数量ごとに、耐えられる値幅は次のようになります。
| 数量 | 必要証拠金 | ロスカット時の有効証拠金 | 耐えられる損失 | 値幅 |
|---|---|---|---|---|
| 0.1ロット(1万通貨) | 3,000円 | 600円 | 99,400円 | 約9.9円(994pips) |
| 0.5ロット(5万通貨) | 15,000円 | 3,000円 | 97,000円 | 約1.94円(194pips) |
| 1ロット(10万通貨) | 30,000円 | 6,000円 | 94,000円 | 約0.94円(94pips) |
同じ残高でも、数量を10倍にすると耐えられる値幅は約10分の1になります。ロスカットの近さを決めているのはレバレッジの設定値ではなく、建てた数量です。
なお、この前提でロスカット水準が50%の業者なら、1ロットの場合の耐えられる値幅は約0.85円に縮みます。水準が高い業者ほど早く強制決済されるため、残る資金は多くなりますが、含み損からの回復余地は小さくなります。

マージンコールとの違い
| マージンコール | ロスカット | |
|---|---|---|
| 性質 | 警告の通知 | 強制決済の実行 |
| 作動水準の例 | 維持率50〜100% | 維持率20〜50% |
| このとき起きること | メールやツール上で通知される | ポジションが自動的に決済される |
| 利用者ができること | 入金、数量の縮小、決済 | 基本的にない(実行後の対応のみ) |
マージンコールは「このままだと強制決済になる」という予告です。ここで追加入金するか、一部を決済して数量を減らすかの判断が求められます。ただし通知は必ず届くとは限らず、急変時には警告なしにロスカットへ進むこともあります。通知を前提にした資金管理は避けてください。
ロスカットは「守ってくれる」とは限らない
ロスカットは価格が連続して動いていることを前提にした仕組みです。週明けの窓開けや指標発表で価格が飛ぶと、水準に達した瞬間の価格では約定できず、想定より不利な価格で決済されます。その結果、残高がマイナスになることもあります。海外FXではその分をゼロカットで業者が負担する運用が一般的ですが、これは規約上の措置であり、適用除外もあります。
つまりロスカットは「通常の値動きに対する保険」であって、急変時の保証ではありません。

ロスカットを避けるための実務
- 建てる前に値幅を計算する。上の表の要領で、ロスカットまで何円あるかを把握します。
- 損切り注文を必ず置く。ロスカットより手前で自分の判断で止めるのが原則です。
- 数量を先に決める。1回の許容損失額から逆算します。余力があるからと数量を増やさない。
- 維持率を常時表示する。ターミナルの取引タブを開いたままにします。
- 指標発表と週末をまたがない。価格が飛ぶ場面ではロスカットが機能しにくくなります。
よくある質問
ロスカット水準は変更できますか
できません。業者が口座タイプごとに定める取引条件です。ただしレバレッジの設定は変更できる業者が多く、必要証拠金を通じて維持率に影響します。
複数ポジションがある場合、どれが決済されますか
多くの業者は含み損の大きいものから順に決済し、維持率が水準を回復した時点で止めます。全建玉が一度に決済されるとは限りません。処理の順序は業者の規定によります。
ボーナスは維持率の計算に入りますか
クレジット型のボーナスを有効証拠金に含める業者があります。含まれる場合はロスカットまでの余裕が増えますが、出金できる資金ではありません。規約で扱いを確認してください。
ロスカットされた後、追加入金すれば元に戻せますか
決済は取り消せません。入金しても新たなポジションを建て直すことになります。マイナス残高が表示されている場合は、ゼロカットの処理が終わってから入金してください。
国内FXのロスカットとは違いますか
仕組みは同じですが、水準の設定と、間に合わなかった場合の扱いが違います。国内FXでは不足額が追証として請求されます。
維持率が何%になったら危険ですか
絶対的な目安はありませんが、水準の3〜5倍を下回ってきたら数量が過大と考えるのが実務的です。ロスカット水準20%の口座なら、100%を割った時点で対応を検討してください。
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この記事で特に重要な3点
- ロスカットは証拠金維持率が水準を下回ったときの強制決済。無効にはできない。
- 到達までの距離を決めるのは建てた数量。残高10万円なら1ロットで約0.94円、0.1ロットで約9.9円の余裕になる。
- 価格が飛ぶ場面では機能しきらない。損切り注文で手前から止めるのが本来の対策。

