結論からいうと、年末調整で海外FXの利益を申告することはできません。年末調整は勤務先が給与所得について行う手続きで、給与以外の所得は対象外だからです。したがって会社員がやることは2つ、「年末調整は通常どおり受ける」「FXの利益は翌年に自分で確定申告する」だけです。勤務先に申し出る必要はありません。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 年末調整で申告できるか | できない。給与所得のための手続き |
| 会社員がやること | 年末調整は通常どおり受け、FX分は確定申告する |
| 勤務先への申告 | 不要。年末調整の書類にFXの記入欄はない |
| 確定申告が必要になる基準 | 給与以外の所得の合計が20万円超 |
| 20万円以下の場合 | 所得税の申告は不要。住民税の申告は必要 |
| 年末調整で受けた控除 | 確定申告書にも転記する(源泉徴収票から) |
| スケジュール | 年末調整は11〜12月、確定申告は翌年2月16日〜3月15日 |
| 最終確認日 | 2026年9月7日 |
2つの手続きの役割分担
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 誰が行うか | 勤務先 | 本人 |
| 対象 | 給与所得 | すべての所得 |
| 時期 | 11〜12月 | 翌年2月16日〜3月15日 |
| 扱える控除 | 生命保険料控除、扶養控除、社会保険料控除など | 年末調整の控除に加え、医療費控除・寄附金控除・雑損控除も |
| 海外FXの利益 | 扱えない | 雑所得として申告する |
年末調整は「給与に対する源泉徴収税額の精算」です。給与以外の収入を勤務先が把握することはなく、記入する欄もありません。年末調整の書類にFXのことを書く必要はないと理解してください。
1年の流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 通年 | 取引履歴を定期的にダウンロードし、経費の領収書を保存する |
| 11〜12月 | 勤務先の年末調整を通常どおり受ける(控除証明書を提出) |
| 12月末 | その年の確定損益を集計する。年内に決済すべきものがないか確認する |
| 1月 | 源泉徴収票を受け取る。各業者から年間の取引履歴を取得する |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告書を作成・提出する |
| 4月ごろ | 所得税を納付する(振替納税なら口座振替) |
| 6月ごろ | 住民税の納付書が届く(普通徴収を選んだ場合) |
年末調整と確定申告は両方行うのが正しい形です。年末調整を受けたから確定申告が不要になるわけではなく、逆に確定申告をするから年末調整を断るという必要もありません。

確定申告では源泉徴収票を転記する
確定申告書には、年末調整で計算済みの給与所得も記入します。ゼロから計算し直すのではなく、源泉徴収票の数字を転記するだけです。
- 支払金額:給与の収入金額として入力します。
- 給与所得控除後の金額:給与所得の金額です。
- 所得控除の額の合計額:年末調整で適用済みの控除です。
- 源泉徴収税額:すでに納めた所得税です。最終的な税額から差し引かれます。
ここにFXの雑所得を加えて合計所得を出し、改めて税額を計算します。源泉徴収済みの分は精算されるため、二重に課税されることはありません。
精算の流れを数字で追う
前提:給与収入600万円、年末調整後の課税所得が400万円、源泉徴収税額が37万2,500円。ここに海外FXの利益100万円が加わった場合、確定申告での計算は次のようになります。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 課税所得 | 400万円 + 100万円 | 500万円 |
| 所得税 | 500万円 × 20% − 42万7,500円 | 57万2,500円 |
| 復興特別所得税 | 57万2,500円 × 2.1% | 約1万2,000円 |
| 合計 | 約58万4,500円 | |
| 源泉徴収済み | △37万2,500円 | |
| 納付する所得税 | 約21万2,000円 |
これに加えて、翌年6月から住民税10万円(100万円×10%)が課税されます。所得税と住民税を合わせた約31万円が、利益100万円に対する実際の負担です。納税は年をまたいで発生するため、利益を確定した時点で資金を分けておいてください。
年末調整で控除を出し忘れた場合
生命保険料控除の証明書を出し忘れた、扶養の記入を間違えた——こうした場合も、確定申告で修正できます。FXの申告と同時に行えばよく、勤務先に再手続きを依頼する必要はありません。
また、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)は年末調整では扱えないため、もともと確定申告が必要です。FXの申告をする年は、これらもまとめて処理すると手間が一度で済みます。
注意点として、確定申告をする場合はふるさと納税のワンストップ特例が無効になります。寄附金控除を申告書に記載し忘れると、控除を受けられません。

住民税の欄を忘れない
確定申告書 第二表の「住民税に関する事項」で、給与以外の所得に係る住民税の徴収方法を選べます。「自分で納付」を選べば、FX分の住民税は給与天引きに含まれません。
この欄は所得税の計算に影響しないため、意識していないと素通りしがちです。提出直前に第二表だけもう一度確認することを習慣にしてください。
よくある質問
年末調整の書類にFXのことを書く必要はありますか
ありません。年末調整で扱うのは給与所得と各種控除で、給与以外の所得を記入する欄はありません。
年末調整を受けずに確定申告だけにできますか
できますが、勧められません。年末調整を受けないと源泉徴収税額の精算が済まず、確定申告での入力項目が増えます。通常どおり受けてください。
利益が20万円以下なら何もしなくてよいですか
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。市区町村へ申告書を提出してください。
源泉徴収票はいつもらえますか
通常は12月の給与明細と同時、または翌年1月に交付されます。確定申告書の作成に必要なので、受け取ったら保管してください。
転職した年はどうなりますか
前職の源泉徴収票を現職に提出していれば、年末調整でまとめて精算されます。提出していない場合は、両方の源泉徴収票を使って確定申告で精算します。
年の途中で退職した場合は
年末時点で在職していないと年末調整は行われません。確定申告で給与所得とFXの雑所得を合わせて精算することになります。源泉徴収されすぎていれば還付されます。
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この記事で特に重要な3点
- 年末調整は給与所得のための手続き。海外FXの利益は扱えず、勤務先に申し出る必要もない。
- 会社員は年末調整を通常どおり受け、翌年に確定申告する。源泉徴収票の数字を転記するだけで済む。
- 確定申告をする年は医療費控除やふるさと納税もまとめて処理する。ワンストップ特例は無効になる。

