結論からいうと、会社員がやるべきことは「20万円を超えるか判定する→年間損益を集計する→翌年2〜3月に確定申告する→住民税の徴収方法を選ぶ」の4つです。年末調整は勤務先に任せたままでよく、FXについて申し出る必要もありません。つまずきやすいのは20万円以下でも住民税の申告が必要という点と、納税が翌年にずれ込むという点です。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 確定申告の要否 | 給与以外の所得の合計が20万円超で必要 |
| 所得区分 | 雑所得(総合課税)。給与と合算して税率が決まる |
| 税率 | 所得税5〜45%+復興特別所得税2.1%+住民税10% |
| 年末調整 | 通常どおり受ける。FXの申し出は不要 |
| 勤務先に伝わる経路 | 住民税の通知のみ。第二表で「自分で納付」を選べば回避できる |
| 20万円以下の場合 | 所得税の申告は不要でも、住民税の申告は必要 |
| 納税の時期 | 所得税は3月、住民税は翌年6月から |
| 最終確認日 | 2026年9月7日 |
ステップ1:申告が必要かを判定する
給与を1か所から受けている会社員は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要です。判定に使うのは利益そのものではなく、必要経費を差し引いた後の金額です。
- 海外FXの確定損益から、VPS代や書籍代などの必要経費を引く。
- 暗号資産、アフィリエイトなど他の副業所得も足して判定する。
- 国内FXの損益も、判定の場面では合算して数える(税額の計算は別枠)。
なお、医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合は、20万円以下の所得も申告書に含める必要があります。20万円ルールは「確定申告をしない人」のための特例だからです。

ステップ2:税額を概算する
前提:FX以外の課税所得(控除後)が400万円の会社員。増える税負担は次のとおりです(住民税10%と復興特別所得税を含む)。
| 年間の利益 | 増える税額 | 実質負担率 |
|---|---|---|
| 50万円 | 約15.2万円 | 30.4% |
| 100万円 | 約30.4万円 | 30.4% |
| 300万円 | 約91.4万円 | 30.5% |
| 500万円 | 約158.4万円 | 31.7% |
| 1,000万円 | 約376.8万円 | 37.7% |
利益を確定したら、この目安の金額を口座から抜いて別に管理してください。納税は翌年です。証拠金として使い続けると、納付時に資金が足りなくなります。
ステップ3:申告書を作る
| 準備するもの | 入手先 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 勤務先(12月〜1月) |
| 年間の取引履歴 | 各業者のマイページ |
| 経費の領収書・明細 | 自分で保管 |
| マイナンバーカード | 本人(e-Taxで使用) |
| 還付金の受取口座 | 本人名義の口座 |
記入場所は第一表の「雑・その他」です。国内FXと違い分離課税の第三表は使いません。第二表の「所得の内訳」には、種目「証拠金取引」と業者名を記入します。
取引履歴の添付は不要ですが、内容の確認を求められることがあるため保存しておいてください。

ステップ4:住民税の欄を選ぶ
勤務先にFXの存在が伝わる経路は、実質的に住民税の通知だけです。給与額から想定される住民税と実際の天引き額が食い違うと、給与以外の収入があることが分かります。
これを避けるには、確定申告書 第二表の「住民税に関する事項」で「自分で納付」を選びます。FX分の住民税は自宅に届く納付書で納めることになり、勤務先へは給与分だけが通知されます。
ただし記入漏れがあると原則どおり合算されます。提出直前に第二表を必ず確認してください。自治体によっては普通徴収への切り替えを限定的にしか認めない運用もあるため、事前に市区町村へ確認しておくと確実です。
年間のチェックリスト
| 時期 | やること |
|---|---|
| 通年 | 取引履歴をダウンロード、経費の証憑を保存。利益確定時に税額分を出金して分ける |
| 11〜12月 | 年末調整を通常どおり受ける |
| 12月末 | 年間の確定損益を集計。相殺できる含み損があるか確認する |
| 1月 | 源泉徴収票と各業者の取引履歴を揃える |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告書を作成・提出。第二表の徴収方法を選択 |
| 3〜4月 | 所得税を納付 |
| 6月〜 | 住民税の納付書が届く。期限までに納付 |
会社員が特につまずく3点
- 「20万円以下だから何もしなくてよい」と考える。住民税の申告は別に必要です。
- 出金していないから課税されないと思う。課税されるのは決済して確定した利益で、出金は関係ありません。
- 翌年の損失で前年の税が減ると思う。海外FXには繰越制度がなく、年をまたぐと損失は切り捨てです。
よくある質問
会社に副業とみなされますか
投資は労務の提供を伴わないため、副業禁止規定の対象外としている企業が多くあります。ただし規定の書き方は企業ごとに異なるため、就業規則を確認してください。金融機関などでは、投資自体に届出や制限がある場合があります。
損失だけの年も申告が必要ですか
海外FX単独なら、繰越できないため申告しても税額は変わりません。ただし暗号資産など他の雑所得の利益があるなら、相殺のために申告する意味があります。
確定申告をすると会社に通知が行きますか
税務署から勤務先へ申告内容が通知される仕組みはありません。関係するのは住民税の徴収方法だけです。
扶養している家族がFXをしている場合は
その家族の合計所得金額が58万円(令和7年分から)を超えると扶養から外れ、自分の税額が増えます。年末調整の扶養の記載にも影響するため、家族の損益も把握しておいてください。
申告を忘れていた年があります
気づいた時点で期限後申告をしてください。自主的に申告した場合と、指摘を受けてからでは加算税の扱いが変わります。早く動くほど負担は軽くなります。
税理士に頼むべきですか
給与+海外FXだけの構成なら、確定申告書等作成コーナーで完結することが多くなります。利益が大きい、複数年分をまとめる、経費の判断が必要といった場合は相談を検討してください。
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この記事で特に重要な3点
- やることは判定・集計・申告・住民税の選択の4つ。年末調整はそのまま受ければよい。
- 20万円以下でも住民税の申告は必要。勤務先に伝わる経路は住民税の通知だけ。
- 納税は翌年3月と6月以降にずれる。利益を確定した時点で税額分を分けておく。

